最愛ジェネローソ
プロローグ



俺が初恋という初恋をしたのは、中学生の時。

クラスメイトの女子の中でも、大人びた雰囲気を醸し出していた。

ある意味で異彩を放っている様だった。

そして、その初恋の人と、奇跡的な再会を果たしたのは26歳。

地元の大学の就活生に向けた、企業説明会に呼ばれた日のことだった。

あの日、偶然、世の中に数ある企業の中でも、俺と初恋の人の職業が発表の依頼を受け、その場に呼ばれていた。

そして、説明会の資料やパワーポイント等の確認準備中。

席を立って、歩き出した俺のこの手が、机の上に置いてあった彼女のボールペンを、偶然にも落としたことが、運命を引き合わせることとなったのである。

それは、まるで学生の頃にもあったような、既視感を感じた。

例え、舞台に上がって発表する彼女に、後になって気付いたって、声をかける勇気なんて、当時の俺には無かったに違いない。

相変わらず、距離を感じてしまって。

物理的にも、心理的にも。

また何も伝えることも、出来なかったんだろう。



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