最愛ジェネローソ
第1話*栗山side 大切な彼女
1月下旬。

ここ最近は全体を通して、全く可笑しな気候だった。

秋口になったにも関わらず、まだまだ暑かったり、涼しかったり。

冬に突入したかと思えば、不思議と温かい。

それなのに、突如強い風が吹き荒れ、みぞれ雪が空から落ちてくる日だってあった。

寒暖差があっちこっちして、今にも体調を崩してしまいそうだ。

しかし、今日はそんなことも言っていられない。

今夜の予定に想像を膨らませて、仕事に勤しむ。



「今日は、やけに機嫌良いな、栗山。何か良いことでもあったのか?」



苦手としている事務仕事を、意欲的に取り組んでいたところに、同僚の御園(みその)が話し掛けてきた。



「いや。今夜、予定があるだけだよ」

「へぇ? もしかして、デートか?」



図星を突かれ、思わず固まる。



「栗山って全部、顔に出るタイプだよな」

「そんなこと……」



いや、実際、そんなことある。

昔から隠し事は、上手くいった試しがない。

嫌だなと思えば、包み隠せずに、直ぐに顔に出てしまうし。

嬉しい時には、声すら漏れてしまう。

それに、好きな子は誰だかなんてのもだって、直ぐにかつての友人等に、バレてしまっていたくらいなのだから。



「彼女、どんな子なんだよ。写真は?」



まさか、こんなにグイグイ来られるとは、思っていなかった。

戸惑うフリをしながらも、満更でもない俺はスマホを手に取る。

言われた通りにアプリを開き、写真を探そうとしたが、手を止めた。



「そういえば、彼女の写真、撮ったことないわ」

「1枚も?」

「うん……今、思えば、一緒に撮ったことも、彼女を被写体にしたことも、一度もない」

「マジか」



俺自身も写真は、得意じゃない。

だから、こちらから提案したこと自体、一度も無かった。

すると、御園は俺のデスクに手をつき、得意気に言った。



「写真、1枚くらいあると良いぞ?」

「写真、か……」

「そうだ。疲れてる時に見れば、癒されるから」

「なるほどな」

「まぁ、ただ、余計に会いたくなって、辛いこともあるけど」



試しに聞いてみるのも、アリかもしれない。

やっと付き合えたんだ。

たとえ少しずつだとしても、もっと恋人らしく、それに近付いていきたい。

そうだ。今夜、聞いてみよう。


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