最愛ジェネローソ



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「華さんってさ、あんまり写真撮らないよね」



目の前で、一生懸命うどんを啜る、俺の彼女こと咲宮 華さんへ唐突に尋ねる。



「──んっ?」



口に放り込んだ瞬間に、俺が話し掛けたことによって、焦らせてしまった。

彼女が麺類を啜るのが苦手だと、つい最近のデートで気が付いたばかりだ。

それにしても、一生懸命な姿が面白くて、ずっと見て居られる。

会う度、彼女のイメージとは、かけ離れたギャップをたくさん見ることが出来るから面白い。

だけど、思えば付き合い始めたのは、半年以上も前。

半年も過ごしていれば、多少なりともお互いのことを分かってくる筈だと、思っていた。

しかし、お互いの仕事の都合上、時間がなかなか合わず、俺たちは月に1、2回デートをする程度。

その為、顔を合わす度に、毎回新しい発見、表情を見ることが出来る。

そう前向きに考えてみても、会えない時間が長過ぎて、辛いと言えば辛い。

──華さんは、どう思ってるんだろう?

ようやく麺を飲み込んだ華さんは、かなり遅い返事をした。



「──写真?」

「ほら、なんか女子って、料理の写真とか、SNSに上げるじゃん。華さんはしないよね」

「……いつも食い気の方が勝るから。撮るの忘れるの」



華さんによくある「まさか」の一言。

こういうところだ。

学生の頃から、どこか大人びていて、真面目そうな見た目の彼女には、アンバランスな台詞。

俺は、つい吹き出す。

俺が笑ったのにつられてか、華さんもはにかんだ。

そして、きつねうどんのお揚げを、箸でゆっくりと切り分け、口に運ぶ。

染み出ているであろう、甘いお出汁を味をじっくりと堪能している。

垂れる目尻が、とても愛らしい。

――こういう瞬間は、確かに写真に残したくなる。

そう思い、スマホのカメラを立ち上げながら、一応尋ねてみた。



「ねぇ。華さんの写真、撮っちゃダメ?」



すると、彼女は切れ長の目を見開く。



「だっ、駄目……!」

「ええ……。絶対、人には見せないから。俺専用にするから。お願い」



どんなに頼み込もうが、首を縦には振ってくれない彼女に、ホロリと涙ぐむ。



「どうして、そこまで写真を嫌がるの?」


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