私達は結婚したのでもう手遅れです!
なにかがおかしい。
頭ではそう思っているのに冬悟さんにうまく丸め込まれてしまう。

「ほら、いつまでキッチンにしゃがみこんでいるんだ。『柳屋』に行くぞ」

冬悟さんは手を差し出した。
私は嫌いじゃない。
でも、冬悟さんはどうして私と結婚したのかな。
好きだからっていうだけで結婚してしまったけど、いろいろと省略したせいで私は冬悟さんのことをなにも知らない。
最後まで冬悟さんは私を抱かなかったことも気になっていた。
それって責任をとれないから?
礼華さんはどうするの?
婚約者の存在はよかったのだろうか。
しかも礼華さんはヤクザの娘。
このままで終わるわけがない―――そんな気がしていた。
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