私達は結婚したのでもう手遅れです!
「はあ?ぼた餅!?ふざけてんのか。緊張感なさすぎだろー!!」

「あ……そうですよね。明日から会社勤めでした」

竜江さんに言われて反省した。
おいしくできたのに。
おじいちゃんなんて、あまりのおいしさに重箱一つ持って帰ってくれたくらいの出来映えだよ。

「あんこ、お嫌いでしたか……」

しょんぼりしてキッチンに戻ろうとすると背後で冬悟さんの低い声が響いた。

「おい。竜江。羽花が作ったぼた餅を食べれねえのか?」

「うわぁ、急にぼた餅が食べたくなってきたなー」

「ぼた餅をいただきましょう!」

振り返ると、竜江さんと仙崎さんが突然、礼儀正しく頭を下げて『ありがとうございますっ!』と言っていた。
この数秒の間になにが……?
キッチンカウンターに二人がぎゅうぎゅうと座ると空間が狭く感じた。
特に仙崎さんは体が大きいので椅子が小さく見えた。

「えーと……リビングにお茶をお持ちしますね」

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