私達は結婚したのでもう手遅れです!
「仲がいいわけじゃない。わかった。気を付ける」

本当ですかー?と疑いのまなざしを向けた。
腕を組むくらいという空気を感じましたけど?
モテモテすぎて、女の人から絡まれるのは日常茶飯事、自然な流れ、気にするまでもないこと。
わかります、わかっているんですよ!
でも、ここは妻としてビシッと言っておかねばと注意した。

「本当ですね?」

「ああ」

私の頭をなでながら、約束してくれた。

「他には?」

「ありません」

「あるだろ!?」

冬悟さんはなんでだよ?と小さくつぶやいていたけど、妻(強調)にとって他の女の影は最大の敵。
それ以外、なにがあるんですかとじろっーと冬悟さんを見た。

「羽花には敵わないな。昔も今も」

くしゃりと自分の髪を握り、冬悟さんは笑う。
その顔は優しい。

「私、どうして、このマンションを冬悟さんが選んだのか、やっとわかったんです」

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