私達は結婚したのでもう手遅れです!
このマンションからは公園が見える。
私と冬悟さんが遊んだ場所。
私が母の写真を部屋に飾っていたように冬悟さんはここからあの公園を見て、幼い頃の思い出を拠り所にして孤独を埋めてきたのだ。
そんな大切な存在でいられたことを私は嬉しくて―――そして胸が痛い。
もっとそばにいてあげられたらよかった。
冬悟さんが寂しさを感じないくらいに。

「ずっと私のことを好きていてくれて、ありがとうございます」

そう言った私の体を冬悟さんは抱きしめた。
顔を髪に埋めて言った。

「長かった―――それに怖かった」

「冬悟さんに怖いものってあるんですか?」

「ある。羽花に嫌われることだ」

「嫌いになんてなりませんよ」

「俺が悪い男でも?」

「悪い男じゃないですよ。冬悟さんは私を助けてくれるいい人です」

冬悟さんの顔を両手で包み込んだ。
そして、幼い日の面影を探した。

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