私達は結婚したのでもう手遅れです!
「礼華さん。冬悟さんは自分の境遇に近い礼華さんのことには同情していました。けれど、やりすぎましたね。羽花さんに傷の一つでもついていたら、礼華さんの命の保証はできません」

そう言って、仙崎はサングラスに指を触れさせた。

「仙崎。ほどほどにな」

「心得ております」

「おっ!ひさしぶりに暴れちゃいますかー」

竜江の口調は軽い。
さっきまで羽花がいて、楽しそうにしていたのが夢のように思えた。
羽花が書いた文字が見える。
『二人で沈む夕日がみたい』
仙崎が渡したパンフレットに書いてあったのをボールペンで消してある。
恥ずかしくなって消したのだろう。
綺麗に消えていないせいで、何と書いてあたのかすぐにわかってしまった。
そして、ボールペンで書いたらしいハート型が見えた。

「ラブラブっすね……」

竜江が俺をちらりと見た。

「うるさい。行くぞ」

「場所はわかるんですか」

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