私達は結婚したのでもう手遅れです!
「いや、俺もだけどよ。礼華お嬢さんが嶋倉の妻だっていうから、本当なんじゃねえのか?」

私を無視して、なにかモメている。

「なあ、お前」

「嶋倉の妻って本当かよ?」

凄まれて言われるのがそれ?
なんだか納得がいかないけど、事実を口にした。

「ほっ、本当です!」

まさか、そんなことを疑っていたの?
す巻きにされているせいで指輪を見せることができない。
今こそ、あの指輪を見せる時だったのに……
それこそ、水戸のご老公が登場した時のように印籠(指輪)を見せてやりたかった。
ううっ……くやしい……
私の顔をじっーと全員が見ていた。
そして、首を横に振る。

「なあ。礼華お嬢さんの勘違いじゃねえのか?」

「そうかもな。あの嶋倉の妻にしちゃあ、子供すぎるだろ」

うんうんと周りがうなずき合っているのが見えた。

「違います!私は正真正銘、冬悟さんの妻です!」

どっと笑いが起きた。
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