私達は結婚したのでもう手遅れです!
悲しみでぽたぽたと涙がこぼれ落ちた。

「ケーキ……」

ううん、待って。
今はケーキのことを考えている場合じゃない。
どうして、私はこうなってしまったのか考えよう。
礼華さんとカフェに行って、紅茶とケーキが運ばれてきた。
まず、口を潤してからケーキをなんて思ったのがいけなかった。
紅茶を一口のんで眠くなるなんて―――あれ?
おかしい。
紅茶を飲んで眠くなるなんておかしくない?

「もしかして……私、誘拐された!?」

ずりずりとす巻きされたまま、暗い和室から逃げ出そうとした瞬間、襖がぱーんっと開いた。
明るい光に目を細め、入ってきた人を見るとガラの悪い人達だった。
その人達が着ている派手なシャツに見覚えがある。
矢郷組の人達だった。
この派手なシャツは矢郷組の制服なんだろうか。
それとも、玄馬さんへのリスペクトとか?

「俺は信じられねえぞ!」

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