私達は結婚したのでもう手遅れです!
そんなこと父や職人さん達には言えなかったし、もちろん百花にだって。
だから、私はいつも平気な顔をしていた。
友達と遊びたかったし、学生らしいこともたくさんしたかった。
やりたいことを我慢してお店を手伝ってきた。
それを全部、冬悟さんはわかってくれている。
贅沢な暮らしも新婚旅行も結婚式も―――今までなにもできなかった私のため。

「でも、お店に冬悟さんが通い始めてくれて、顔を合わせるようになってからは毎日が幸せでした。やっと私も人並みに恋をして、ウキウキしても許されるんだって思えて」

「羽花ちゃん……」

「だから、私、騙されたっていうのなら、ずっと冬悟さんに騙されていたいです。だって、私のためにしてくれたことだから」

玄馬さんは自分の前髪を握りつぶした。

「幻滅させてしまってごめんなさい」

「そんなことねえよ。むしろ、幸せにしてやりたいって思えた」

「えっ!?」

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