私達は結婚したのでもう手遅れです！

「借金の取り立てだ。うちに三千万円の借金がある」

身内の恥を晒されたような気がして、恥ずかしくてうつむいた。
父も妹も同じ気持ちだったらしく、私と同じ暗い顔をしていた。
すぐに三千万円を作るためには和菓子を売るだけじゃ無理だってことは私にもわかる。
店と土地を処分しても無理だ。
老舗和菓子屋とはいえ、昔からの付き合いがあるお寺や茶会のお菓子を主に受けていてデパートやお土産売場に売るほど手広くやっているわけじゃないから……

「三千万円ですか。なるほど。竜江(たつえ)。払ってやれ」

「はーい！ちゃんと準備してありますよー！」

ドラマとかでよく見るような黒いカバンが登場した。
パチンっと音をさせて開いたカバンの中には札束がぎっしりと隙間なくつまっている。
ひ、ひえぇええっ！？
ほ、本物？