私達は結婚したのでもう手遅れです!
けれど、それを知った継母は父と喧嘩をして、私が修学旅行に行かないと言うと継母は気が済んだらしく、おとなしくなった。
私が楽しいって思うことを継母はさせたくなかった。
けど、今は―――

「しおり通りに進めればいいんだな? ……酒造とワイナリーは羽花の行きたい場所じゃないだろう?」

「温泉の近くにある陶芸体験が私の行きたいところで、酒造とワイナリーは冬悟さん用ですっ。だって、冬悟さんはお酒好きでしょう?」

「羽花が行きたいところだけでいいぞ」

「私は冬悟さんも楽しんで欲しいんです!」

冬悟さんは笑みを浮かべた。
私達が見つめあっていると、その横を竜江さんが通りすぎた。

「あー、ハイハイ。 荷物運びましたけど。そろそろ出発でいいっすかねー」

なんだか、竜江さがトゲトゲしい。

「竜江、なにをやさぐれているんだ?」

「温泉を断られた俺の身にもなってくださいよ」

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