私達は結婚したのでもう手遅れです!
第11話 彼の婚約者
「羽花さん。少し席を外します。礼華(れいか)。話がある」

「いいわよ」

礼華さんは冬悟(とうご)さんの腕に手をからめて部屋から出て行った。
親しげな二人の様子を目の当たりにした私は呆然としたまま、黙って見送るしかなかった。
私には『羽花さん』で礼華さんは呼び捨てなの?
これは知り合った年月の差?
それに自然に腕を絡めるくらい二人は近い距離なのかな。
恋人的なスキンシップに戸惑ってモタモタしている私とは大違い。
ショックを受けている私に竜江(たつえ)さんが励ますように声をかけてくれた。

「心配しなくても大丈夫ですって!冬悟さん……社長ともうヤッちゃったんでしょ?社長の女なんだから、どーんと大きく構えていたらいいですよ」

「そ、そんなこと……まだ……」

「「まだ!?」」

竜江さんだけじゃなく、先崎さんまで同時に声をあげた。

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