【書籍化】利害一致婚のはずですが、ホテル王の一途な溺愛に蕩かされています
「ううーー!」
ようやく前向きになれそうだったのに…。悲しいというよりは悔しさでいっぱいだった。
トモキとは同じ大手化粧品会社・T&Yの国際事業部の同期で、入社してすぐに彼の方からアプローチがあった。
『咲笑ちゃんかぁ、可愛いね』
新入社員歓迎会だっただろうか。可愛いなんて言われるのも、テーブルの下でこっそり手を握られるのもはじめてで。まったく男性と接点のなかったうぶな私は、すぐに甘い言葉と熱烈アプローチに絆され付き合いだした。
――けれども。
『オレ、もう咲笑とは付き合えない』
一週間前、彼はそう言って三年間に呆気なく終止符を打ったのだ。
まさにどん底に落とされた気分だった。
もちろん、みゆきの言うとおり、女の子の影があったかと聞かれればそれは否定できない。っていうかいっぱいいたと思う!
けれどもそのたびに私たちはどうにか問題を解決して、気持ちを確かめ合ってきた。結婚しようねっていうセリフも信じて疑わなかった。
なのに……。