わけあってイケメン好きをやめました
「そんなにモヤモヤしてるなら、今夜電話してみろよ」

「いやでも……きっと忙しいですよ」

「気を遣いすぎ」

 メッセージの返事ももらえていないのに、追い打ちをかけるように私から電話をかけてもいいのかと戸惑うのは当然だ。
 鬱陶しいと思われないだろうか。
 重い女にはなりたくないと考えれば考えるほど身動きが取れなくなってしまう。


 家に帰り着き、ホッとひと息ついたところでスマホがメッセージの着信を告げた。
 あわてて確認すると、送ってきたのは徹平くんだった。

【今日一日、連絡できなくてごめんなさい。今、電話してもいいですか?】

 先ほどまで胸の中があんなにもどんよりと曇っていたのに、今のメッセージで霧が晴れたように明るくなった。
 こうして私の気持ちを乱高下させられるのも、この世で徹平くんただひとり。
 ニヤニヤが止まらないまま、私は自分から電話をかけた。

『美和さん、こんばんは。急にすみません』

 低くてやさしい彼の声が耳に届く。なんだかそれだけで胸が熱くなった。

「お疲れ様。もしかしてまだ仕事中じゃない? 電話してて大丈夫?」

『今家に着いたんで大丈夫です。よかったらビデオ通話にしませんか? 美和さんの顔が見たいんで』

「あ、うん」
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