ひととせと、マタタビ
少しして見せてくれたものは、





「コーヒーカップ?」「プリンです」



「レッサーパンダ?」「ペンギンです」



「…なんで伝わんないの、桃子さんにはこれがレッサーパンダに見えるの?」





なんて拗ねて言うけど、それにしか見えない。
少なくともそのノートにプリンとペンギンはいません。





自称プリンにはどう見ても人みたいなのが描いてある。それになぜ自称ペンギンには、まあるい耳が生えているんだろう。





「誰にだって得手不得手はあるよね」



「得意ですってば」



「…ふふ」



「そんな可愛い顔して笑わないでください、怒れないでしょ。次、桃子さん描いてみてください」






…今のなに、不意打ち。
柊璃くんに可愛いなんてはじめて言われた。





嬉しすぎて心の中の私は踊ってるけど、真正面に柊璃くんがいるので顔には出せない。





あーあー、にやけちゃいそう。落ち着いて桃子。





柊璃くんには好きな人が、好きな人……





あっという間にスンと真顔になれました。






「できた柊璃くん、これなーんだ」



「ブルドッグ?」「ラッコだし」



「…誰にだって得手不得手はありますよね」


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