ひととせと、マタタビ
「――使えない、ベッドの横に飾る」
うん、予想通り。
私の作った料理を食べ終えて、影璃のためにここ三日で作り方を習得したチョコレートケーキを食べている最中。
綺麗にラッピングしてもらった袋を影璃に渡すと、開けてもいないのに飾ると言い張った。
これは予想外。
「飾るのはいいけど、ほんとは全然よくないけど、とりあえず開けてみてよ」
写真を数枚撮って、ようやく袋のリボンを外す。
どうせなら中身の写真を撮ってほしいんだけど…
「………あれ?え、なんで光理、これ…」
「驚いた?影璃欲しそうにしてたから……ってなにその顔!?
えええ嬉しくない?私間違えた?58ページの右側だったよね…?」
影璃のその微妙な表情に、つい学校にいる時のようなテンションになってしまう。
全然嬉しそうに見えない。かといって嫌だなっていう表情にも見えない。
やってしまった、みたいな…
…まさか、
自分でもう買っちゃったとか。もしくは、既に他の人から貰ってる?
そんなことが一秒の間に頭をめぐる。その間に私が出した答えは…
「…女」
「…っは?何言ってるの光理
これ俺から光理へのプレゼント、開けてみて」
そう言って渡された袋。中身を取り出すと、
それは私があげたブレスレットと同じ箱だった。
もしかして女じゃなくて、
「被った…?」
「ね。こんなことある?」
影璃は焦ることもなくケラケラ笑う。ブランドはともかく、中身までまるっきり一緒だった。