ひととせと、マタタビ



「――使えない、ベッドの横に飾る」




うん、予想通り。







私の作った料理を食べ終えて、影璃のためにここ三日で作り方を習得したチョコレートケーキを食べている最中。






綺麗にラッピングしてもらった袋を影璃に渡すと、開けてもいないのに飾ると言い張った。






これは予想外。






「飾るのはいいけど、ほんとは全然よくないけど、とりあえず開けてみてよ」





写真を数枚撮って、ようやく袋のリボンを外す。





どうせなら中身の写真を撮ってほしいんだけど…







「………あれ?え、なんで光理、これ…」





「驚いた?影璃欲しそうにしてたから……ってなにその顔!?
えええ嬉しくない?私間違えた?58ページの右側だったよね…?」





影璃のその微妙な表情に、つい学校にいる時のようなテンションになってしまう。






全然嬉しそうに見えない。かといって嫌だなっていう表情にも見えない。
やってしまった、みたいな…






…まさか、
自分でもう買っちゃったとか。もしくは、既に他の人から貰ってる?






そんなことが一秒の間に頭をめぐる。その間に私が出した答えは…





「…女」





「…っは?何言ってるの光理
これ俺から光理へのプレゼント、開けてみて」






そう言って渡された袋。中身を取り出すと、





それは私があげたブレスレットと同じ箱だった。





もしかして女じゃなくて、





「被った…?」




「ね。こんなことある?」





影璃は焦ることもなくケラケラ笑う。ブランドはともかく、中身までまるっきり一緒だった。


< 70 / 77 >

この作品をシェア

pagetop