アクセサリーは 要りません
「やっと笑顔が見れた。
そんなにショックだった?」

そう言いながら山口先生は急須のお茶を注ぎたしてくれた。これは渡り廊下で見られていたことにショックを受けていると思われている?手をつないだ途端、そっちにびっくりして、戸惑っているのだけれど。まぁ、渡り廊下のショックもなくもない。

「はい、授業の練習とかも
あそこでしていたので
サボってばかりじゃないんですが、
周りから見て『何やってんだ?』とか
変な先生って思われただろうなって。
一応誰か通った時は、
佇んでいるフリをしてたんですけど」

「微笑ましくて良いんじゃない?
始業式のあとは、俺、職員室に
10分ほどいて数学科の資料室に
教頭先生と移動したんだ。
その途中、宇部先生が見えて。

周りに誰もいないオープンスペース
だからマスク外してただろ?
俺はクルクル変わる百面相を
微笑ましく見てたよ。

教頭先生も『あそこからは
夕日の時間がきれいな景色だよって
次会ったら教えてあげよう』
ってだけだったし、
ホント気にしなくて良いと思うよ。
ただ、周りからよく見える場所だよ
って教えてあげただけなんだ。
踊ったり歌ったりしたら、
拍手くるよって」

「もう、またそんな冗談を。
でも、気をつけます。
授業の練習、遠目には歌って
踊ってるようにも見えちゃうかも」
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