アクセサリーは 要りません
「お待たせしました」

食事が運ばれてきた。

「うわっきれい!桜のお粥ですか?」

「そうです。
桜の時期は桜のお粥なんですけど、
今年はもうそろそろお終いやね。
来週からは筍のお粥になるから、
また来てくださいね。
柿の葉寿司とか奈良漬とかも
あるのでごゆっくり。

あ、写真撮る?
私、色々な人に頼まれて
お粥と人と一緒に撮るの
上手なんよ」

「そうなんですね。
じゃあ、これでおねがいします」

そう言って山口先生はスマホを
お店の人に渡した。

「もう少し引っ付いて。
あれ?付き合いたてほやほや?
撮るよ、はいチーズ。

2人ともすごい良い笑顔で
撮れてるでしょ?
確認してね」

スマホを返してくださり、腕を曲げてポンポン叩きながら「腕が良いでしょ?」のジェスチャーをしながら笑顔でおっしゃった。

「ホントにお粥も俺らも
写ってますね。
ありがとうございます。
2人の写真これが初めてなんですよ」

え?付き合いたてホヤホヤの言葉はスルー?まぁ、お店の人にワザワザ否定しなくても良いって事かな?

「冷めちゃうわよね、
どうぞごゆっくり。

初めての写真なん?
そんな感じに見えへんわ、
入ってきた時
しっくり馴染んで
落ち着いた2人だったわよ」

付き合うってなるとドキドキとかのオーラがあるけれど、それが無いって事ね。あ、お味噌の優しい匂い。

「ありがとうございます。
美味しく頂きます」

「いただきます」
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