アクセサリーは 要りません
ゆっくり喋りながら、時には商品を手に取りながら話して、店内をゆっくりまわった。商品に名刺入れがあれば、「先生って職業は名刺入れを使うのだろうか?」とか、「どの色が好きか?」とか、たわいのない話だが楽しい。

豆皿というらしい小さな皿の前で、足を止めて1枚の皿を眺めている。タグに奈良の赤膚焼と書いている。

「どうした?」

「これって今日みたいじゃない?
鹿がいて桜が咲いて鳥居があって。
私、今日の記念に買おうかな。」

って喋っていたら店員さんが来たので2枚お願いしてレジで預かってもらって買い物を続けた。

洋服のところで、どういう服が好みだとか結構話が止まらなかった。小物にオレンジをワンポイントに入れるのが好きという何度目かの共通点も見つけた。結局買い物は豆皿だけだった。それぞれ一枚ずつ買ったが、店員さんに言わなかったので、包装も支払いも一緒になった。

これはチャンス、彼女に預けておこう。
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