バーチャル彼氏
「私……頭悪いんですっ! だからちゃんと、説明してください」


真っ赤になりながら、必死で言葉を探す。


キスじゃ、わからない。


「ったく」


クシャッと前髪をかきあげ、照れた顔で私を見つめる。


「1年前の文化祭のときから、僕は泉ちゃんを好きだった。だから、リアルなバーチャル彼氏を作って、君にあげたんだ。ゲームの中で彼氏彼女として過ごすうちに、少しでもいいから僕に好意を抱いてほしくて……」


聞いているうちに、涙がにじみ出てくる。


嬉しくて、嬉しくて。


だけど、最初から成樹さんの思い通りに動かされていたってわかると、どこか悔しくて。


その悔しさまで全部が愛しいだなんて、本当に重症かもしれない。


「私の心臓さっきからおかしいんです」


そっと、成樹さんのたくましい胸に両手を当てて言う。


「成樹さんに会ってから、ずっとずっとうるさいんです。なにかの病気かもしれない。責任、とってください」


そう言うと、成樹さんは一瞬驚いた顔をして、それからそっと私を抱きしめてくれた。
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