バーチャル彼氏
恋をしてしまうと、みんな臆病だ。


臆病だけど、強くなる。


「ま、それは俺もだけどね」


歩きながら、そんな事をポツリと呟く。


「え?」


「ゲームをつまらなそうにプレイしてたからって事を理由にして、泉ちゃんに近づいた……」


え……?


見ると、真っ赤な顔をしてハニカミ笑顔を見せている。


「それ……って」


「ん……。ごめんね? 本当は俺一目ぼれだったんだ」


「ちょ、ちょっと、待ってくださいっ!」


私は公園の真ん中で立ち止まる。


さっきから心臓うるさいっ!


だけど、ハッキリと言ってもらわなきゃわからない。


「だからさ」


「こういうこと」


囁くように耳元でそう言い、成樹さんは私にキスをした――。


あの時、向日葵と交わしたキスとそっくり。


だけど、今度はすごくリアルに感触が伝わってくる。


唇同士が求め合い、なかなか離れない。
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