バーチャル彼氏
「言ったじゃない。バーチャル彼氏は本物の人間を忠実に再現してるって。それは見た目だけじゃなくて、性格や癖、もちろん、記憶力もよ。本人と違うところと言えば、トイレに行ったりご飯を食べたりしないところ」


ほぇ~……。


今の時代、そんな事まで出来ちゃうんだ。


すごいな……。


私が関心していると、「まぁ、育て方によってはリアル向日葵君より多少異なる性格になったりするかもだけどね」と、桃子。


「でもいいなぁ、バーチャル彼氏!! 私もほしぃ」


そう言って頬を膨らませる桃子。


私はそんな桃子を見ながら、缶詰をポケットへしまった。


まずは挨拶か。


挨拶ができたら、多少心が通じ合える気がする。


挨拶の次は、会話?


私に教えられるのかな?


まぁ、いざとなると桃子も清美お姉ちゃんもいるし……。


ポケットの中身をギュッと握り締める。


ほんの少しの好奇心と、ほんの少しの遊び心。


イケメン向日葵の彼女は私。


それだけで、胸が躍っていた――。
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