異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
 優しい笑みを浮かべた母は私の肩にそっと手を置いた。


「……お母さん」
 

「真緒、おめでとう。総介さんと幸せになりなさい。真緒が選んだ人なら素敵な人に決まってるわよね。なんだか急すぎて驚いたのと、つい自分と同じ目にあって欲しくなくて嫌な態度をとってしまったわ、ごめんね」


「ッッつ……お母さんっ……あ、ありがとうッ……」


 嬉しい。


 私の事を思って味噌汁を作ってくれた事も。
 妊娠した事をおめでとうと言ってもらえた事も。
 なによりも総介さんと私のことを認めてもらえた事が嬉しい。
 今日は嬉し涙が止まらない日だ。


「総介さん、真緒の事宜しくお願いします」


 母は深深と総介さんに向かって頭を下げた。


「お母様、顔をあげてください。頭を下げなければいけないのは私の方です。大事な娘さん、私も一生をかけて真緒さんを幸せにします」


 涙で滲んだ視界に幸せな光景が広がる。


「さぁ、お昼ご飯まだ食べてないのかしら? 皆んなで食べましょう。総介さんにもらったお弁当があるからね」


「お、俺の作ったお弁当を皆んなで食べるんですか……緊張するなぁ。でもありがとうございます。部屋に入った時からなんだか味噌のいい匂いがするなぁと思っていたんです」


「じゃあ準備するから二人は休んでなさい」


「お母さん、手伝うよ」


「いいの、私が準備したいのよ。久しぶりに作ったから味は補償できないけどね」
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