異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜

 想像を遥かに超える音の圧力が身体全体にのしかかる。やっぱりプロは凄い。綺麗な響きがホール全体を唸らせるほど。思わず曲が終わった瞬間にスタンディングオペーションをしてしまいたくなるくらい。でも日本人は滅多にする事はないのでグッと我慢してめいいっぱい拍手をした。


 楽しみにしていたトゥーランドット。最初の迫力ある音のまとまりからの高音で飛び抜けてくるファーストトランペットの音色、そして弦楽器の流れるようなメロディーに序盤から泣きそうになった。メロディーの裏で奏でるオブリガードも上手くメロディーと噛み合っていてさらに曲の雰囲気を盛り上げている。
 なんだろう、やっぱり泣きそうだ。瞬きをしてしまったら目に溜まった涙がこぼれてしまいそう。

 曲に感動しているから? 
 だから感極まって泣きそうなの?

 曲も終盤、弦楽器と管楽器が奏でる主旋律はそれはもう身体が身震いするほど音の圧力が全身を包み込む。それと同時にこぼれまいと踏張ていた涙が身体の奥底から湧き出してくる新しい涙に押し出されて、落ちた。

 感動、この音に私は感動して泣いているんだ。きっとそう。
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