異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
 初めての海外旅行の目的地はオーストリアにあるウィーン国立歌劇場。なんてったってこの旅行の目的はオペラの本場ウィーンで生のオペラを観に行く事だ。日本でもオペラの公演はしているが私は初めて見るオペラは絶対にこの曲がいい! そしてオペラの本場ウィーンで見たいと決めていた。
 小学校は金管部でトランペットを吹き、中学校では吹奏楽部に所属し私はその時にオーボエという木管楽器に出会った。中学一年の私は名前も知らない楽器だったが先輩に教えてもらううちにオーボエの魅力に気づいてしまったのだ。見た目はクラリネットと似ていて音楽をやってない人にはよく間違えられる事が多い。私からしたら全然似てないのに。
 私はオーボエのあの美しくて哀愁漂う音色にすぐに虜になった。それでも納得のいく音で演奏するのはとても難しくリード(口に咥えて振動させる部分)の調子もその日によって違う。オーボエはソロも多いので常に勉強の日々だ。二十二歳になった今も私は地元の吹奏楽団でオーボエを吹いている。プロになるには音大を卒業しなくてはならないがうちは裕福ではなかった為音大へ行く選択肢は自分の中でもなかった。でもこうしてい今もオーボエを吹けている事が幸せでしかない。オーボエを吹かなくなる日が来るなんて考えられないのだ。
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