純愛不倫の恋
 ドアをバタンと閉め、車を離れて歩き出した。背中で彼が何か叫んでいたが、もうどうでもいい。今日で彼と一緒に過ごした日々と昨日までのわたしに別れを告げるのだ。

 彼にはピシャリと格好良く言ったが、わたしの心はボロボロだった。自分で決めたことなのにこんなに心が痛いなんておかしい。それにどうして涙が止まらないんだろう。

 ああ・・・。彼に嘘をついた。

 忘れるなんて嘘。忘れられるものか。今でも好きなんだから。どうしようもなく好き。でもあとひとつわたしが乗り越えるべきセレモニーが済んだら全部終わる。つらい恋を終わらせるんだ。

 道路の向こうは川が流れていた。立ち止まったわたしは、耳元で揺れているピアスを外し、しばらく手のひらに載せたそれを眺めた。彼からプレゼントされたヴァンクリーフのダイヤのピアス。わたしの大事な大事な宝物。
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