眠り王子の専属抱き枕になりました!?
戸惑っていると手を繋がれて引っ張られる。温かい手の感触に、全身に猛烈な動揺が走る。

「ぅああああの、手・・・ちゃんとついてくから、は、離して。」

廊下に出たところでそう言うとなんだか寂しそうな顔をされたけれど、ここは譲れない。こんなモテ男くんと手なんて繋いで歩いたらすぐに噂になってしまう。一緒にいるところだって見られたくなかった。

「俺のこと嫌い?お礼する、なんて無理して言ってくれてる?」

「ううん!違うよ。」

「ほんと?」

「うん、ほんとにほんと!」

綿星くんは確認するかのようにじっと私の目を見てきた。

「う~ん、目に動揺が見てとれるなぁ・・・。」

「そ、それは、そんな風に見つめてくるから・・・。」

「そうなの?」

「そうなの。」

「ならいっか。」

綿星くんは目尻を下げて屈託なく笑った。可愛い、と思ってしまった。

本当に彼は魅力的過ぎてずるい。強引だし謎だらけなのに私の心を掴んで引っ張っていくんだ。
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