クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす


スマホを切るとため息が漏れた。

「どうかした?柊哉。」

「司、チョッと数日休めるか?」
「数日って…。具体的には?」

「わからん。」
「それは困るかなあ…。」

「しばらく館山に行きたいんだ。」
「え?だって、アクアライン通行止めだし。」
「そうなのか?」

「前の台風で被害が出てるのに、この風雨でしょ。」


「何とかして行かないと…。」

「う~ん、別ルートかあ。JRで乗り継ぐか、車でひたすら国道を走るか…。
 どっちにしても3時間以上はかかるんじゃない?」

「後の事は頼む。行かなきゃならないんだ。また、連絡は入れるから。」

そう言い残して、柊哉は社長室を飛び出して行った。



「あ~あ。何の用事かくらい言って行けよ…。」

司はボヤキながらも、柊哉が珍しく考えるより先に行動に移す様子を見て
ただ事では無さそうだと感じていた。




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