クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす
「ああ、悪い、起こしてしまったか。」
「いえ、本を読んでいたので…。おかえりなさい。」
「ただいま…。」
言葉が続かない。それというのも、和優が薄いガウン姿で現れたからだ。
「何か召し上がります?」
「いや、もう遅いから。シャワーを浴びて休むよ。君も寝なさい。」
「はい、そうさせていただきます。明日は何時に?」
「まだ決めていない。早くに出るつもりだ。」
「じゃあ、朝ごはんは召し上がって下さいね。」
そう言い残すと、和優は二階へ上がっていった。
階段を上がる和優の後ろ姿を見上げると、妙に艶めかしかった。
ほっそりしているのに、どこか男の目を引き付ける身体だ。
妻をその手に抱いた事のない柊哉には目の毒だった。
『しょうがない、父親からあんなに病気の事を聞かされたら…。』
自分のような大男が抱いたら壊れてしまいそうだ。
もしかしたら、『手をつけるな』と、あれは牽制だったんだろうか。
そこまで穿った見方をするほど、柊哉は恋心を拗らせていた。