クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす

 めったに帰らない松濤にある自宅の前にタクシーを止めた。
しげしげと、真っ暗な闇に街灯の明かりで浮かび上がる瀟洒な洋館を見る。

『こんな、寂しい家だったか…。』

高級住宅街にある為か、この時間になると特に静かで暗い。
セキュリティー会社に直結させて防犯はキチンとしているはずだが
和優は独りでここに住んでいるのだ。配慮が足りなかった事が悔やまれた。

そっと、玄関のカギを開けて中に入る。
秋とはいえ、そろそろ朝晩は冷え込んできている。
屋敷の中に入っても、空気がひんやりと感じられた。

リビングの照明をつけて、久しぶりの我が家(・・・)をぐるりと見回す。
家政婦の田辺は几帳面だと聞いているが、確かにまったく乱れていない。
生活感があまりにも無さ過ぎて、柊哉は驚いてた。

『ほんとうに、ここに和優が住んでいるのか?』

まさか独りがイヤで、実家に帰ったのだろうか?

そんな疑問を抱えていたら、小さな足音が聞こえた。

「誰?柊哉さん?」

恐々かけてくる声は、和優のものだった。


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