ふんわり王子と甘い恋♡
「ななごめん。さっき菊地先輩に会って、お化け屋敷のPR映像作ってるみたいで、それ手伝ってって言われて、」
「あ、うん。全然大丈夫、行ってきなよ」
「……ほんとに大丈夫?」
「うん、きくりんと桑野もいるし。平気平気」
放課後の多目的室で、ヨッコが申し訳なさそうに教室を出て行った。
でも大丈夫。
やることはあるし、この2週間できくりんと桑野とも仲良くなったから、話し相手だっている。
大丈夫。
多目的室に今いるのは、きくりんと桑野、それから雄介先輩。
山本先輩とフワリくんは……まだ、来ていない。
「大原先輩たち、遅いっすね?」
私たちがここに来て、もう1時間は経っている。
いくらなんでも、遅すぎるような?
「あー、大ちゃんとヤマね、今テレビ運んでるんだわ」
「え、貸してくれる人見つかったんですか」
「学校の近くに住んでる友達が、貸してくれるって」
「おー、有難い!」
設定は、男の1人暮らしの部屋。
その部屋に必要な、テレビ。
ホラーマニアの男の部屋には、無数の心霊写真が落ちていて、テレビからは心霊写真の映像が永遠に流れ続ける……っていう設定。
この部屋の男は、ある日突然、行方不明になったらしく、……今もその消息は不明。