ふんわり王子と甘い恋♡



横に並んで歩く校舎は、音が消えたように静か。


きっと色んな音は鳴っているんだろうけど、私にはやっぱり、自分の鼓動しか聞こえない。



3階まで上ると、廊下を少し歩いて職員室がある。


あと少しで、職員室。


フワリくんとのお仕事は、もうすぐおしまい……



大丈夫?からなにも話さなくなったフワリくんは、重い本を抱えてただ歩く。


私の隣を、ただ真っ直ぐ……



なにも話さないフワリくんだけど、大人しい人、ではない気がする。


だってあずりん先輩や菊地先輩、フワリくんの周りにいる人たちは、どちらかと言うと目立つ人たち。


そんな人たちと仲の良いフワリくんは、大人しいというより、穏やか。


隣から伝わる空気は、とっても穏やか。


そんな言葉が、きっと似合う。



フワリくんが持つ本が重そうで、それに比べて私が持つ本は軽すぎて。


少し持ちます!って言いたいのに、言うタイミングが掴めないまま、結局目の前はもう職員室。


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