フヘンテキロマネスク
突然の事態にクラスメイトは焦って、「おまえがあんなこと言ったからだろ」「おまえだって同じこと思ってたくせに」「時間ないのにどうすんの?内申に響くかも」「ほかにピアノできる人いないのに無理じゃん」と責め合う。


クラスの団結力を強めるためっていう名目の行事なのに、こうやってバラバラになってるとか滑稽だな。

俺だって当事者のくせして、責め合うクラスメイトを冷めた目で見つめながらそんなことを考えていた。


そのとき、「あの、」と控えめな声が近くで上がった。



「……私、水原さんほどじゃないけどピアノできます」


その瞬間クラスメイト全員が一切に声を発した女子に視線を向ける。それにビビったみたいに思いきり肩をビクつかせる姿はどこか情けなくて、本当に大丈夫なのかと思ってしまった。



「ほんと!?来栖さんできるの!?」

「一応習ってたから。もし私以外にほかにピアノ弾ける人がいないなら、だけど」

「わー!ありがとう!ほかに弾ける人、いないよね!?……うん、いないみたいだから頼んでもいい?」

「うん、大丈夫。じゃあとりあえず今日はCDで練習してもらってもいい?私別室で練習してくる」


音楽室を使える時間は限られていて、音楽室が使えないときはCDか、持ち運びができるキーボードで練習するかで、彼女は他の教室でキーボードで練習するみたいだ。
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