【SR】秘密
いたって飄々としている姿を見て安堵する。


…………何を考えてるんだ、俺は。


桜は何も知らないのに。


「その時はそれで良いんです、別に。
とりあえずその日をやり過ごせれば少しは安心できるし……。
もし犯人がわからなければ、引っ越しも考えてるから」


…………三日後。


三日後に桜は大人への階段を、またひとつ昇る。


「よし、じゃあそれでいこう。
俺も明日仕事だし、桜も学校だろう?
今日はもう帰ろう、送るよ。
車を回して来るから少しここで待ってて。
お前はまだ仕事だろう?」


「ああ、ありがとうな貴一。桜ちゃんも」


「ううん、お互い様だから」


部屋のドアを閉める前に、友人に笑みを浮かべて話しかける姿を横目に、急いで車へと向かった…………。











< 26 / 52 >

この作品をシェア

pagetop