【SR】秘密
「女の子だったら甘い方が良いのかな?それともさっぱり系?」


「さっぱりが好きです。甘いのは何だか小さい頃飲んだ風邪シロップみたいで……。
普段もミネラルウォーターしか飲まないから、味がきつく感じちゃうんです」


「あぁ……だったら、ジントニックとかが無難じゃないかな。それにする?」


ビンゴ。私の一番好きなカクテル。


顔立ちも良いし、気も利く。


仕事するなら、厭味な客よりこういう人を相手に出来る方を選んでしまうのは仕方の無い事。


「お名前、伺っていいですか?」


「あぁ、ごめん。……キイチ。貴一で良いよ」


「貴一さん。このカクテル、すごく美味しい。ありがとう!」


にっこりと笑う。


「それは良かった。……しかしすごい活気がある店だね」


周りを見回すと、確かにすごい盛り上がり様だった。


「最近いつもこんな感じよ。盛り上がり出すと本当は2時までの営業なんだけど、盛り上がると延長営業で4時までやったりするの」


少し酔いが回ったのも手伝って、言葉遣いもフランクになる。


ぼうっとするせいで、忍び寄る魔の手にも、刺す様な目にも気づかなかった。


「そうなんだ……桜は学校は?
夜の仕事だけ?」


「……ううん、大学。だから、朝からの時は辛くって」


……ここは夜の店。こう言うほか無かった。


苦笑いすると、貴一さんが頷いた。
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