That's because I love you.
「御木本は恋愛感情無くてもヤれる男なんだよなぁ。元カノ達の中にだって好きで付き合ってた女なんか、一人も居ねぇみたいだし。」
「…………。」
「あんたがそれでも良いってーんなら好きにすりゃいーけどさぁ。これだけは気ィ付けな?…アイツにとってさ、"私のこと好き?"とかいうのほどウザってぇ台詞はねぇから。それ言った女はみ~んな、アイツにバッサリ切られてたよ。」

西沼は最後に「じゃーせいぜい頑張って」と吐き捨てると、まりあの元を去っていく。
もう一人の男、原口も、彼を追って行った。

「…西沼ァ。彼女に振られたからって八つ当たりし過ぎ。」
「…うるせぇ。御木本みてぇな奴が彼女と順調なんて、今どうしても許せねぇんだよ…!」
「あーあー。あの子、カワイソー。」

原口はそう軽い調子で言いながら、憤る西沼の隣を歩く。
二人がまりあの方を振り返ることは、無かった。






残されたまりあは、暫くその場から一歩も動くことが出来なかった。

「……バカだ…私…。……ほんとに…。」

男二人が去ってから数分後、うつむきながらぼそっと呟く。
その後、重い足取りでその場を後にしたのだった。


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