That's because I love you.
(…そりゃ、そうだろ。まりあは僕を本気で好きで居てくれてたのに…一生懸命尽くしてくれていたのに、僕は一度も気持ちを返すことが出来なかったんだ。不安になるなって方が無理だ…。……ごめん。…ごめん…、まりあ…。)

ぐっと強く目を瞑り、うつむく。



自分はずっと、彼女の愛情にあぐらをかいていた。
自分が優しくしてさえいれば彼女は幸せでいてくれると、いつまでも自分の隣に居てくれると、そう勝手に信じ込んでいた。

結果、自分はずっと彼女を傷付けていた。
それに気付かなかった自分自身が、許せなかった。

まりあに幸せで居てほしい、笑っていてほしい。
自分が、幸せにしたい。
他の男と居る彼女など想像もしたくない、耐えられない。
ーーーどれも、生まれて初めて自覚する感情だった。



(……やっと…気付いた。……僕は…。)

7年前名前も知らない少女に初めてほのかな恋愛感情を抱いた以来、他のどんな女性にもずっと心が動かされず、もう自分は一生恋など出来ないのだと思っていた。
恋愛感情というものがどんなものだったかすらもとうに忘れた自分は、大事なまりあをただペットの様に、所有物の様に、可愛がっていた。

しかしまりあの一途さと優しい心に包まれる日々の中で、彼女への想いは自分の自覚の無い所で密かに膨れ上がり、いつの間にか後戻り出来ない地点まで来てしまっていたのだ。
ーーーそれに気付くのが、遅過ぎた。


(……休講になった日ホテルに連れて行った…あれがまりあとの最後だったなんて…。…何で優しくしてやれなかった?……本当に僕は、バカだ……。)

後悔の念は、思考を巡らせる程に巨大になっていく。
明広はその後もずっと、顔を上げられなかったのだった。


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