That's because I love you.
また一つ、溜め息を吐く。
その時ふと、三日前自分とぶつかり、必死に謝りながら自分が落とした書類を拾ってくれた女の子が頭に浮かんだ。
彼女は三日前から度々、明広の脳裏にひょっこりと現れていた。

(…この間の子、可愛かったな…。あんなに可愛い女の子は初めて見た…ちょっと子どもっぽかったけど。…真面目で純粋そうだったな…世界が違い過ぎるし、これから関わることもないんだろうけど…。)

(金髪碧眼…もしかして、あの時の…?…いや。そんな偶然…似てるだけだろ…。)

遠い昔の美しい記憶の中の少女が、キラキラとした光と共に脳裏に蘇り、可愛らしい笑顔を見せる。
明広が無意識に微笑んだその途端、後ろからか弱い、震える声が聞こえて来た。

「…みき…、御木本さん…っ!」
「………!」

振り返ると、つい先程まで自分の頭の中を占めていた女の子が、そこに居た。

(……あの子だ。…改めて見ると、凄い小さ…。)

明広は少々動揺していたが、平静を装って口を開く。

「……この前の。」
「…お、覚えててくれてたんですか…っ?」
「…たった三日前だしね。」
「はい…ごめんなさい…っ!」
「…何で謝るわけ。」
「ごめんなさ…じゃなくて、えと、え…と…っ!」

(…ふぁぁぁ~っ…!ばかばかぁ…!こんなどもってたら御木本さんにどんどん引かれちゃうよぉ…!でも…御木本さん、…かっこいいよぅぅ…っ。)

真っ赤な顔からぼしゅぅぅ~っと大量の湯気を出し目を回しているまりあに、明広は思わず少したじたじとしてしまう。

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