That's because I love you.
「…まりあは何か勘違いしてるみたいだけどさ。僕にとってまりあは、大事な彼女だよ…ちゃんと。君を迷惑に思ったことなんて一度もないし、今日だって僕が君を祝いたくて自ら来たんだ。」
「……っ。…あき…。」
「だから"悪い"とか思わないこと。さっきケーキ食べてた時、まりあが嬉しそうに笑ってたから僕も嬉しかった。…折角の誕生日なんだしさ、落ち込まないでよ。」
「……。…はい…っ…。」

まりあは思わぬ彼の言葉に勝手に目に滲んだ涙を両手で拭い、こくこくと小さく頷きながら、泣き出すのを堪え一生懸命笑顔を作る。
明広はそんな彼女に優しく微笑み返した後身を起こし、自分の鞄の横に置いていた紙袋に手を伸ばす。
中身を取り出すと、それを部屋の本棚の片隅に置いた。

「…あとさぁ。コレ、この辺置いとくから。」
「……ふぇ…?」

まりあが本棚を見やると、優しいピンク色が基調の小さなフラワーアレンジメントが、そこにはあった。
明広がバイト帰りに駅ビルのフラワーショップで、花が好きなまりあのために買ったものだった。
まりあはラグの上に寝たまま無意識に両手を口元に持っていき、みるみるうちに再び目に涙を溜める。

「…こらこら。また泣かないの。」
「…泣いてないです…っ。」
「泣いてるじゃん。」
「まだこぼれてな…込み上げちゃっただけで…、ぁ…っ!」
「今こぼれたね。」
「…だってぇ…。嬉し…んだも…っ…。」

まりあの頬にぽろぽろと流れる涙を、明広は苦笑しつつ拭ってやる。

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