恋は塩味(ねこ神様のお通り・失恋ファンタジー)

さび猫との遭遇

<さび猫との遭遇・1>

「お婆ちゃんの施設に行くんだけど、一緒にいかない?」
母からのラインだった。

母方の代々続く田舎の家。
お婆ちゃんの家は、昔大きな豪農だったらしい。

集落の本家であったが、
数代前の親戚が放蕩人だったらしく、たくさんあった畑を切り売りし、多額の借金を返済したとのことだった。

田舎の家は昔の名残をまだ残して、敷地は広いが、もう農家ではない。

お婆ちゃんは一人で暮らしていたが、認知症が進み、ついに施設入所になった。

土日に母が、施設に会いにいく。

その後に家に行き、簡単な掃除や郵便物の整理、近所の情報交換などをしている。

お婆ちゃんはもう90代だ
もう、認知症が進んで自分の娘も
孫の顔も判別しないが、
私の作ったお菓子は、本当においしそうに食べてくれる。

<みれいちゃんのお菓子>
施設で私は、ちょっと有名人だ。

施設に行くときは大量に焼き菓子をつくり、職員さんや入所している高齢者に、ふるまうのが恒例行事になっている

楽しみに待ってくれる人も多い。
「次はどんなの持ってくるの?」
お年寄りが聞いてくる。

私もみんなが笑顔になってくれるのはうれしい。

クリスマスケーキのシーズンに入ったら、とてもじゃないが無理になる。
今しか、行くチャンスはないだろう。

「うん、いくよ。予定教えて。
お菓子焼くから」

< 17 / 51 >

この作品をシェア

pagetop