恋は塩味(ねこ神様のお通り・失恋ファンタジー)
<さび猫との遭遇・3>

草むしりは大変だった。

庭木が多く、敷地が広いのも善し悪しだ。
「除草剤使ってもいいけど、猫がいるからね」
母がしゃがみこんで話をする。

「あれ・・黒猫・・・?」
敷地の小道に一匹の猫が寝転んでいた。

黒猫・・?
いや、黒い毛並みの所々に明るい茶色のメッシュが混じる。
黒猫は、金色の目を光らせた。

「あれは黒ではないわ。ぞうきんネコね」
母が日差しをかざすように額に
手をやった。

「ぞうきん・・?ヘンな名前」
「さび猫っていうのかな。
三毛猫の白が無いバージョンでしょ」

「じゃぁサビちゃんか・・
ごはんを後であげるよ」

私が声を猫にかけると、
猫は無視して、トテトテとお尻を向けて小道を歩いて行った。

猫のお尻・・・
小さいポンポンのような丸いのが
ふたつ見える。
オスネコか・・・

猫は一度振り返ると、茂みの中に
すべるように消えて行った。

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