恋は塩味(ねこ神様のお通り・失恋ファンタジー)
<不幸の連鎖・その3>

それから昨年は、ショコラ・・
パリのチョコレートフェスティバルで、
<和テイストのチョコ、ゆず、
さんしょう、抹茶>など出して評判になったはずだ。

ドライバーのおじちゃんは、
地元の情報通だった。
「社長が心臓発作で倒れてさ、
一時期は大変だったけど、
息子さんが戻ってくれて安心だよね」

「・・そうですか・・」
父親の事があったのか・・

「今日、うちの車もずいぶん使ってもらっているし・・」

おじちゃんの話は続く。
「お見合いでトントン拍子で話が決まったって。
今日は、地元で式やって、来週は東京でやるんだって。やっぱりすごいよね」

「あの・・式場・・ホテルに行ってもらっていいですか?」

おじちゃんはバックミラーで私をちらっと見た。
私の恰好は、結婚式の招待客ではないのは明らかだ。

「あの、結婚式の引き出物・・数と種類を確認しろって言われて・・」
とっさに嘘がでた。

「ああ、じゃあ急がなくちゃいけないね」
おじちゃんは車の方向を変えた。
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