恋は塩味(ねこ神様のお通り・失恋ファンタジー)
<ねこ神との生活・その2>

「ワルツは踊れないけど・・」
ねこ神は軽く笑って
「大丈夫、俺がリードするから」

私は安心して、ねこ神の手を握った。
「ワンツースリー・・」
さすがねこ神・ねこ王子様だ。

ねこ神がカウントを取ると、
まるで信じられないくらい軽やかに体が動く。
私たちは草むらで踊った。

「サビはイケメンねこ神だから・・もてるよね」
私はねこ神の金色の瞳を見て、
言う。

「ああ、発情期は大変だ」
ねこ神は思い出すように答えた。

「そうだね・・あんた去勢していないし・・」
ねこ神は、一瞬眉をよせて嫌な顔をした。

ワルツの音が止んだ。
二人は向き合った。

「そんなこと言うと、お前を襲うぞ」
ねこ神は不機嫌な声を出した。
プライドが傷ついたのだろう。
私は余裕で言った。

「それは無理・・
あんたとチュウするって・・
ねずみをくわえたお口でしょ」

またもやプライドが・・・
ぶっ壊れたらしい。
「おまえなぁ・・俺は神だぜ!
普通の猫とは違うし!」
ねこ神の声には、怒りの感情が
こもっていた。

「ああ・・そうなの?」
挑発するように言ってから、
私はジーンズのポケットから袋を出して、ビニール袋を破った。

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