恋は塩味(ねこ神様のお通り・失恋ファンタジー)
<違和感と格差の考察・5>

「財布は使うためにあるからね。
ちゃんと毎日使ってください」
少し口をとがらせた後、次に優しく笑った。

礼智は優しい。
ルックス、見た目も芸能人・タレントさん並みの容姿だ。

礼智の母は<元ミス何とか>という、タイトルを持っていたということを聞いた。
めちゃくちゃ美人で、日本画家。

礼智の美的センスの源流は、この母だろう。

ただ、彼は働かない。働く必要がないのだ。
都内の父親の所有する高級マンションに住み、
父親の仕送りで悠々自適な生活をしている。

自分の気に入ったスイーツ情報を、
インスタとかいろいろなSNSに上げて楽しんではいる。
広告収入があるのかどうかは、
わからない。

そして、フランス語の通訳や翻訳の仕事・・
これも自分の興味があれば、引き受けるというようだ。

私の彼氏・・・?
カラダの関係はある。
礼智は私の初めての男だ。

恋愛関係?
それより強い共通項が二人の間にはある。

それは
スィーツを心から愛しているという事。

だから礼智と一緒に、スィーツ店めぐりをすることは楽しい。
新しい発見が、私の心に刺激を与えてくれる。

これは<恋愛>という感情なのか
私・礼智・スィーツの三角関係、・・・
二人で盛り上がるのは確かだ。

しかし礼智の生息する現実世界は、私にとって経済格差がある。

でも、なんとかなる・・と思っていた。
格差は埋められる。

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