水面にゆれる…

 予想のつかない質問をされて、オレは次の言葉が出なかった。





「先輩のこと好きな女の子、たくさんいるじゃないですか、全然淋しくないでしょう?」



「それは!!」





 あの子達がオレに求めているのは、誰のものにもならない夜一と言う人形で、本当のオレじゃない。



 言いかけた言葉を、オレはわざと飲み込んだ。



 イブキの真っ直ぐな瞳が目の前にある。





「同情なら、もう構わないで下さい」




 言いにくそうに目を伏せて、イブキは言った。



 見えない何かで、胸の奥を突き刺されたような痛みが走る。



 他の女の子達が騒ぐほど、オレはイブキを執拗に構っていたのだろうか?



 気付かなかった自分に腹が立つ。



 同情!?



 なんの言葉も返せない自分。



 イブキの華奢な腕に残る、無数のアザが、脳内でフラッシュバックする。



 胸の奥の突き刺された痛みが、引き裂かれるように広がっていく。



 どうして、こんなにも傷付いてしまうのだろう?





 今の言葉に――





 オレは、何の為にここにいる?





「……どう、して!?」




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