置き去りにされた花嫁をこの手で幸せに
ギリギリに加賀美くんは戻ってきた。
隣の席だからすぐに謝ろうとするが、戻ってきてすぐに梨花ちゃんが加賀美くんを捕まえてしまう。

話しかけるタイミングを逃してしまい、そのまま声をかけられずにいた。

定時では仕事が終わらず、みんながパラパラと帰り始めるが見送るばかりで私はまだかかりそう。
ふと隣を見ると加賀美くんもまだ終わらないのかパソコンをいじっている。
 
私は立ち上がり自動販売機へ向かった。
コーヒーを2つ買い席へ戻った。

加賀美くんの机に1本置くと視線が私に向いた。

「昼間は心配かけてごめんね」

「いや、いいんだ。俺が勝手に心配しただけだから」

「ありがとう。心配してくれるだけで嬉しいよ」

「いや……まぁ、さ。心配させて欲しいんだよ」

ん?
よく分からない。
心配させて欲しい?
加賀美くんはまた分からないことを言う。
最近時々加賀美くんと話がかみ合わない。
この前も守ってくれるって言ってた。
今日も心配させて欲しいって。
これは恋愛感情として?それとも友人として?
難しい…。
加賀美くんの顔からは何も読み取れない。

「槇村はまだかかるのか?」

「あと30分くらいかな。加賀美くんは?」

「同じくらいだな」

二人でコーヒーを飲みながらまた仕事を始めた。
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