何も言わないで。ぎゅっと抱きしめて。



今日もすぐできる比較的簡単なメニューを作り、今日は三人でテーブルを囲んでご飯を食べる。


隼也には生姜焼き、隼輔には味付け前のお肉に生姜の代わりにりんごで作ったソースをかけて食べさせた。


私以外の人と一緒に家で食事をする機会が無いからか新鮮で楽しいらしく、隼輔は終始楽しそうに笑ったり頬張って食べたりと隼輔なりに満喫していた。


お風呂に入れてあがって、歯磨きをして寝かしつけをして。


ようやく一息ついて寝室からリビングに戻った頃には二十時をすぎていた。


隼也は私と隼輔がお風呂に入っている間に買い物に行っていたらしく、テーブルの上にはジュースが置いてあった。



「お待たせ」


「お疲れ。買ってきたから一緒に飲もう」


「ありがと」



もらったジュースで喉を潤すと、体に甘さが染み渡るような気がした。



「たった数時間一緒に遊ぶだけで結構体力消耗したよ。子どもってすげぇのな」


「うん。体力底無しかと思うよ。でもある時突然スイッチ切れたみたいに寝落ちしたりもするから面白いけどね」


「まじかよ。見てみてぇな」


「動画あるよ?見る?」


「見る!」



二人並んで肩を寄せ合い、私のスマートフォンを覗き込む。


そこにはご飯を食べながらカクン、カクン、と半分寝ている隼輔の動画が。


もうこんな動画を撮ることはできないだろうから、私の宝物になっている。


他にも隼輔の写真や動画を一緒に見て、隼也が知らない時間を埋めるように思い出話をした。


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