猫目先輩の甘い眼差し


スマホを取り出してアルバムアプリを開いた。



「父が撮った写真です」

「わぁ可愛い。市瀬さんが着てるのは制服?」

「はい。小学校卒業したので、家族全員で記念に。それと、ちょうどこの日が誕生日だったんです」



見せたのは、バースデーハットを頭に乗せたまめおと私達家族の写真。

16歳を迎えたため、私の卒業記念も兼ねて撮影したのだ。


……この数日後に亡くなっちゃったけど。



「大切な存在を亡くした時の後悔を、少しでも軽くできるお手伝いができたらなと思ったんです」

「そっか。市瀬さんならきっと大丈夫。死を乗り越えたんだもん。なれるよ」

「……ありがとうございます」



気づいたら隣にいて、ずっと傍で成長を見守ってくれた。

今も天国で見守ってるかな。
この光景を見てやきもち妬いてたりして。


まめおが最後にくれたプレゼント、叶えられるよう頑張るから、応援しててね。



✾✾



「目黒先輩と樫尾くんとは、転校した後も付き合いがあったんですか?」

「うん。数ヶ月に1回は会ってたかな」



車道上で質問を投げかけながら帰路に就く。
< 123 / 312 >

この作品をシェア

pagetop